キャリアアップ助成金「正社員化コース」|申請前の確認事項

① はじめに
キャリアアップ助成金の中でも
特にご相談が多いのが「正社員化コース」です。
契約社員、パート、アルバイトなどを正社員へ転換する場合に
一定の要件を満たせば助成金の対象となる可能性があります。
正社員化コースは
他の助成金と比べると比較的制度の負担が少ないケースが多く
会社の運用に合った形で検討しやすいコースです。
ただし 「契約社員を正社員にしたら必ず対象になる」
というものではありません。
要件としては
日々の労務管理を適切に行っていることに加えて
契約社員等から正社員へキャリアアップしたことが
就業規則や雇用契約書などから客観的に確認できる状態であることが重要です。
② 正社員化コースの基本的な要件
キャリアアップ助成金の正社員化コースは
有期雇用労働者等を就業規則等に定めた制度に基づいて
正社員へ転換した場合に対象となる助成金です。
主な確認ポイントとしては次のようなものがあります。
・就業規則等に正社員転換制度が定められていること
・転換前後の雇用契約書や労働条件通知書が整備されていること
・契約社員等と正社員の待遇差が確認できること
・転換後の賃金が要件を満たしていること
・出勤簿、賃金台帳などの法定帳簿が整備されていること
・労働時間管理や賃金支払いに問題がないこと
特に近年は
契約社員等と正社員との間に 「待遇差が確認できるか」が重要になっています。
そのため
就業規則があるかどうかだけでなく
その内容が助成金の要件に合っているかを確認する必要があります。
③ 正社員化しても対象外になりやすいケース
正社員化コースでは
形式上は契約社員から正社員に転換していても
助成金の対象外となる場合があります。
例えば次のようなケースです。
・就業規則に正社員転換制度が定められていない
・正社員と契約社員等の待遇差が確認できない
・最初から正社員化を約束して採用している
・契約書上の雇用区分が曖昧になっている
・転換前後の労働条件の違いが確認できない
特に注意が必要なのは
採用時点で正社員化を約束しているケースです。
例えば
「最初の6か月だけ契約社員で、その後は必ず正社員にします」
という前提で採用している場合
形式上は契約社員から正社員になっていても 助成金上はキャリアアップしたものとは認められず
支給対象外となります。
また
就業規則に正社員転換制度が記載されていても
正社員と契約社員等の待遇差が不明確な場合は注意が必要です。
助成金では 「書類があるか」だけでなく
「要件を満たす内容になっているか」が確認されます。
④ 労務管理の整備も重要
キャリアアップ助成金を申請する際には
就業規則や雇用契約書だけでなく
日々の労務管理も重要になります。
具体的には
出勤簿、賃金台帳、雇用契約書、給与明細などから
労働時間や賃金の支払い状況が確認されます。
そのため
未払い残業代が発生している
固定残業代の管理が曖昧になっている
出勤簿と給与計算の内容が一致していない
といった場合には申請時に問題となる可能性があります。
また
神戸・阪神エリアの事業所で採用した従業員であっても
転勤や配属変更により大阪支店や東京支店で勤務する場合には
勤務先の地域に応じた最低賃金にも留意する必要があります。
助成金は
単に制度を作ればよいものではなく 実際の労務管理が適切に行われていることが前提になります。
正社員化コースを検討する場合は
対象者の契約内容だけでなく
勤怠管理や給与計算の状況もあわせて確認しておくことが大切です。
⑤ 申請前に確認しておきたい書類
キャリアアップ助成金の正社員化コースを検討する場合
特に確認しておきたいのは次の3つです。
・労働条件通知書または雇用契約書
・キャリアアップ計画書
就業規則については
正社員転換制度が定められているか
正社員と契約社員等の雇用区分や待遇差が確認できるかが重要です。
労働条件通知書や雇用契約書については
転換前後の労働条件が明確に整理されている必要があります。
キャリアアップ計画書については
原則として取組前に提出しておく必要があるため
正社員転換を行う前の段階で準備が必要です。
⑥ まとめ
キャリアアップ助成金の正社員化コースは
契約社員やパート等を正社員へ転換する会社にとって
活用しやすい助成金の一つです。
ただし
正社員に転換すれば自動的に対象になるわけではありません。
特に
就業規則の内容、雇用契約書の整備、キャリアアップ計画書の提出時期
契約社員等と正社員の待遇差
出勤簿や賃金台帳などの労務管理状況を確認しておく必要があります。
実際に
「従業員を正社員にしたので助成金の申請を手伝ってほしい」
とご相談をいただくことがあります。
しかし
その時点ではすでにキャリアアップ計画書の提出時期や
就業規則・雇用契約書の整備状況などの要件を満たしておらず
そのまま申請を進めることが難しいケースが多くあります。
後から書類を整えればよいものではありません。
特に正社員化コースでは
雇い入れ時・転換前・転換時・転換後の流れが
要件に合っている必要があります。
事後的に相談をいただいても
すでに対象外となっていることがあります。
このような場合
その時点の対象者については申請をあきらめていただき
次回以降
雇い入れ時から正社員転換までの流れを整備していく
という対応になることがあります。
機会損失を防ぐためにも
事後的に動くより
事前に準備を進めておく方が確実です。
そのため
助成金の活用を検討している場合は
雇い入れ時
または遅くとも正社員転換を行う前に
就業規則・雇用契約書・給与計算の状況を一度確認しておくことをおすすめします。
