神戸の社労士事務所│社会保険労務士法人プラス

社会保険労務士法人プラス
【対応地域】神戸・阪神エリアを中心に全国対応可能

078-531-3966

電話受付時間 : 平日9:00~17:00 休業日:土日祝

メール対応は24時間受け付けております。

お問い合わせはこちら

休憩時間は労働時間?手待ち・仮眠で未払い残業になるケース

休憩時間は労働時間?手待ち・仮眠で未払い残業になるケース

① はじめに

会社では休憩時間として扱っていても、実際には従業員が電話や来客への対応、業務の待機などを求められていることがあります。

このような時間は、実際に作業をしていなかったとしても、勤務実態によっては「手待ち時間」として労働時間に該当する可能性があります。

特に、深夜帯のワンオペ勤務、休憩中の電話・来客対応、勤務時間外の社用携帯への対応、夜間の仮眠時間などは、会社が休憩や待機と認識していても、後から未払い賃金の問題に発展しやすい場面です。

休憩時間に該当するかどうかは、実際に業務が発生したかだけではなく、従業員が労働から解放され、自由に時間を利用できる状態だったかによって判断されます。

今回は、休憩時間と手待ち時間の違い、労働時間に該当するかを判断するポイント、問題になりやすいケース、未払い賃金を防ぐために会社が確認しておきたい対応について解説します。

② 会社が与える必要がある休憩時間

労働基準法では、1日の労働時間に応じて、会社が与えなければならない最低限の休憩時間が定められています。

1日の労働時間 必要な休憩時間
6時間以下 法律上の付与義務なし
6時間を超え、8時間以下 45分以上
8時間を超える 60分以上

休憩は、勤務の開始前や終了後ではなく、労働時間の途中に与える必要があります。

また、原則として従業員に一斉に与え、自由に利用させる必要があります。一斉付与については、業種による適用除外や労使協定による例外がありますが、自由利用が保障されていることは休憩時間として扱うための重要な前提です。

就業規則やシフト表に「休憩1時間」と記載しているだけでは十分ではありません。実際に従業員が業務から離れ、その時間を自由に利用できているかを確認する必要があります。

休憩時間の基本的なルールは、厚生労働省「労働時間・休憩・休日関係」でも確認できます。

③ 休憩時間と手待ち時間の違い

休憩時間と手待ち時間は、どちらも実際の作業をしていない時間が含まれるため、同じように見えることがあります。

しかし、労働時間として取り扱うかどうかは異なります。

休憩時間 手待ち時間
時間の状態 労働から解放されている 指示があれば、すぐ業務に対応する必要がある
自由利用 自由に利用できる 場所や行動などが一定程度制限される
労働時間 原則として該当しない 原則として該当する
具体例 連絡への対応義務がなく、自由に食事や外出ができる 電話番、来客待ち、荷待ち、緊急対応のための待機

手待ち時間とは、実際の作業はしていなくても、会社から指示があった場合や一定の事態が発生した場合に、すぐ業務へ対応できる状態で待機している時間です。

例えば、昼休みに電話が鳴らなかったとしても、電話があれば対応するよう指示されていた場合は、自由に休憩できていたとはいえません。

実際に仕事をしたかだけでは判断しません
結果的に電話や来客がなかった場合でも、休憩中に対応する義務があり、労働から離れることが保障されていなければ、手待ち時間として労働時間に該当する可能性があります。

④ 労働時間に該当するかを判断するポイント

休憩や待機としている時間が労働時間に該当するかどうかは、会社が付けた名称ではなく、実際の運用状況から判断します。

会社側では、主に次の点を確認します。

・休憩中に職場や指定された場所を離れられるか
・電話、来客、警報などに対応する義務があるか
・連絡があった場合、すぐに業務を開始する必要があるか
・休憩中の業務を代わる従業員が配置されているか
・会社から明示または黙示の待機指示があるか
・実際にどの程度の頻度で業務対応が発生しているか
・外出や移動などの私的な行動が制限されているか

これらのうち一つに該当しただけで、直ちにすべての時間が労働時間になるとは限りません。

例えば、緊急時に会社から連絡が入る可能性があるというだけで、従業員の行動がほとんど制限されておらず、連絡への即時対応も求めていない場合は、待機時間のすべてが労働時間になるとは限りません。

一方で、連絡があれば必ず対応することを求め、職場から離れられない、遠方への外出や飲酒もできないなど、従業員の行動を強く制限している場合は、労働時間に該当する可能性が高くなります。

会社が「休憩時間」「仮眠時間」「待機時間」と定めていても、その名称だけで労働時間から除外できるわけではありません。勤務実態と会社からの指示内容を確認する必要があります。

⑤ 問題になりやすい具体的なケース

休憩時間と手待ち時間の区分が問題になりやすい代表的なケースを整理します。

ケース 確認するポイント
昼休みの電話・来客対応 電話や来客があれば対応するよう求めている場合、その時間は労働時間となる可能性があります。担当者には別の時間帯に休憩を与えるなどの対応が必要です。
深夜帯のワンオペ勤務 店舗や施設を1人で担当し、休憩中も電話、来客、警報などに対応する必要がある場合、実際に休憩を取得できているとは認められにくくなります。
勤務時間外の社用携帯対応 社用携帯を持っているだけで直ちに全時間が労働時間になるわけではありません。即時対応の義務、行動制限、対応頻度などを確認します。
夜間の仮眠・待機 実際に眠ることができても、呼出しがあれば直ちに対応する必要がある、指定場所から離れられない、交代要員がいない場合などは注意が必要です。
運送業の荷待ち・仮眠 荷積みや荷下ろしの順番を待ち、指示があればすぐ作業や運転を再開する場合は、手待ち時間に該当する可能性があります。

いずれのケースでも、「食事をしていた」「スマートフォンを見ていた」「実際には呼出しがなかった」という事情だけで休憩時間と判断することはできません。

その時間中に会社の指揮命令から離れ、自由に利用できる状態だったかが重要です。

⑥ 労働時間と判断された場合の賃金

休憩や待機として扱っていた時間が労働時間に該当する場合、その時間に対する賃金の支払いが必要になります。

ただし、労働時間に該当する時間のすべてについて、直ちに割増賃金が必要になるわけではありません。

・法定労働時間内の部分は、労働時間として通常の賃金を確認する
・1日8時間または週40時間を超える部分は、時間外割増賃金を確認する
・深夜または法定休日に該当する部分は、深夜割増や休日割増も確認する

特に、深夜帯の仮眠や待機時間が後から労働時間と判断された場合は、労働時間の増加に加えて深夜割増賃金も関係するため、未払い額が大きくなることがあります。

固定残業代を導入している会社でも、労働時間を把握しなくてよいわけではありません。待機時間を含めて計算した残業時間が固定残業代の対象時間を超える場合は、追加の支払いが必要です。

固定残業代については、固定残業代で会社が確認すべきポイントでも解説しています。

休憩の付与と賃金の支払いは分けて確認します
休憩中に業務対応をさせていた場合、その時間の賃金を支払うだけでなく、法律上必要な休憩時間を別に確保できていたかについても確認が必要です。

⑦ 問題が見つかった場合の確認と見直し

休憩時間や待機時間の運用に問題がある可能性が見つかった場合は、現在のシフト表だけで判断せず、実際の勤務状況を確認します。

1.勤務実態を確認する
シフト表、勤怠記録、電話履歴、業務日報、警報や呼出しの記録などから、休憩中にどのような対応が発生していたかを整理します。

2.労働時間に該当する範囲を整理する
実際に対応した時間だけでなく、即時対応を求めて待機させていた時間や、従業員の行動を制限していた状況も確認します。

3.休憩を取得できる体制へ変更する
交代要員を配置する、電話当番を交代制にする、休憩中の電話を別の担当者へ転送するなど、従業員が業務から離れられる時間を確保します。

4.勤怠記録と給与計算を確認する
労働時間に該当する時間が記録されているか、賃金や割増賃金の計算に不足がないかを確認します。過去の運用にも問題がある場合は、対象期間と金額を整理します。

5.社内ルールと実際の運用を一致させる
就業規則やシフト上の休憩時間だけでなく、現場の管理者が休憩中の従業員へ業務を指示していないかも確認します。

休憩時間の問題は、従業員からの申告や労働基準監督署の調査をきっかけに判明することがあります。労基署から連絡を受けた場合の対応は、労働基準監督署から連絡が来たときの会社対応でも解説しています。

労働時間や未払い賃金を含む労務管理上の問題については、労務トラブル・行政対応でも対応内容を案内しています。

⑧ まとめ

休憩時間と手待ち時間の違いは、実際に作業をしていたかどうかだけでは判断できません。

電話や来客がなかった日や、実際に食事や仮眠をしていた時間であっても、会社からの指示により即時対応を求められ、労働から離れることが保障されていなければ、労働時間に該当する可能性があります。

会社側では、休憩時間を設定しているかだけではなく、実際に休憩を取得できる人員配置や業務体制になっているか、休憩中の対応を誰が行っているかまで確認することが重要です。

問題が見つかった場合は、勤務実態と勤怠記録を確認し、労働時間に該当する範囲、給与計算への反映、別途休憩を確保するための体制を順番に整理します。

就業規則上の取扱いと実際の勤務状況に違いがある場合は、規程だけを変更するのではなく、現場で休憩を取得できる運用へ見直す必要があります。

Return Top