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長期間働けない従業員が出たときの会社対応|休職・復職時の注意点

長期間働けない従業員が出たときの会社対応|休職・復職時の注意点

① はじめに

従業員から「病気の治療でしばらく働けない」「医師から長期間の療養が必要と言われた」と申し出があった場合、会社としては今後の勤務や雇用関係について判断する必要があります。

しかし、診断書が提出されたからといって、すべてのケースで同じ対応になるわけではありません。

現在の状態では勤務できないのか、一定の配慮があれば勤務できるのか、休職制度の対象になるのかなどを順番に確認する必要があります。

長期間働けない従業員が出た場合は、診断書に記載された療養期間だけで判断せず、本人の状態や仕事内容、自社の就業規則などを確認しながら対応を整理することが重要です。

今回は、長期間働けない従業員が出たときに会社が確認しておきたい対応と、休職制度を利用する場合の注意点について解説します。

② まず会社が確認しておきたいこと

長期間の療養が必要という連絡を受けた場合は、すぐに休職と判断するのではなく、現在の状況を整理するところから始めます。

確認項目 主な確認内容
病気・けがの原因 業務上の傷病、通勤災害、業務外の私傷病のいずれに当たるかを確認する
医師の意見 就業そのものが難しいのか、勤務時間や業務内容に一定の制限が必要なのかを確認する
本人の状態・希望 療養が必要な状態か、一定の配慮があれば勤務を継続できる状態かを確認する
就業規則 休職制度、欠勤の取扱い、復職時の手続きなど自社のルールを確認する

病気やけがについては、業務上の傷病、通勤災害、業務外の私傷病によって利用する制度や会社の対応が異なるため、まず原因を整理しておく必要があります。

特に、業務上の負傷や疾病によって療養のため休業している期間と、その後30日間については、労働基準法第19条により原則として解雇が制限されています。

また「治療が必要」ということと「まったく勤務できない」ということも同じではありません。

医師から就業そのものが難しいと判断されている場合には療養を優先する必要がありますが、勤務時間や業務内容に一定の制限を設けることで就業できるケースもあります。

実務上のポイント
診断書を受け取ったら「何か月休む必要があるか」だけを見るのではなく、現在どの程度まで就業できるのか、どのような制限が必要なのかを確認することが重要です。

③ 長期間勤務できない場合は休職制度を確認する

長期間仕事から離れる必要がある場合は、自社に休職制度があるか、その内容を確認します。

休職とは、雇用関係を維持したまま、一定期間従業員の就労を免除する制度です。

休職制度については、法律上その導入が義務付けられているわけではなく、休職事由や休職期間、復職の条件などについても一律のルールは定められていません。

そのため、休職制度を設けるかどうかを含め、実際の取扱いは会社の就業規則や休職規程によって決まります。

従業員にとっては、雇用関係を維持しながら一定期間仕事から離れ、治療や回復に専念できることが休職制度の大きな意味です。

会社にとっては、長期間勤務できない従業員について、どの程度の期間まで雇用を維持し、どのような条件で復職を認めるのかをあらかじめ整理しておく役割があります。

特に私傷病による休職には、一定期間解雇を猶予する制度としての性質があります。

④ 休職以外の方法で勤務を継続できる場合もある

長期間の治療が必要だからといって、必ず休職させなければならないわけではありません。

本人の状態や仕事内容によっては、一定の就業上の配慮を行うことで勤務を継続できる場合があります。

検討できる対応の例

・一時的に勤務時間を短縮する
・時差出勤を認める
・残業や深夜勤務を制限する
・身体的な負担の大きい業務を一時的に外す
・業務内容や担当業務を変更する
・一定期間、有給休暇や欠勤として療養する

どのような対応が可能かは、病気やけがの状態だけでなく、本人が担当している業務や会社の人員体制によっても異なります。

例えば、立ち仕事が難しい場合でもデスクワークであれば勤務できることがあります。一方、業務内容を変更することが難しい職種では、一定期間仕事から離れる必要があることもあります。

そのため、医師の意見と実際の業務内容を照らし合わせたうえで、勤務を継続するのか、休職へ移行するのかを検討します。

⑤ 休職開始から復職・期間満了までの対応

実際に休職制度を利用する場合は、休職開始から復職、期間満了までを一連の流れとして対応します。

まず、就業規則や休職規程を確認し、休職事由に該当するか、いつから休職とするか、どの程度の休職期間となるかを整理します。

私傷病による休職では、医師の診断書を提出してもらい、現在の就業可否や療養の必要性を確認することがあります。

医師の療養期間と会社の休職期間は別に考える
医師が示す「就業できない見込みの期間」と、会社が就業規則や休職規程で定めている「休職期間」は必ずしも一致するものではありません。

例えば、医師から1年間の療養が必要との意見が出ている場合でも、会社の休職規程で休職期間を6か月と定めているのであれば、診断書に1年と記載されていることだけを理由として、当然に1年間の休職を認めなければならないわけではありません。

診断書や病歴などの健康情報については、必要以上に詳しい内容を収集するのではなく、就業できる状態か、勤務上どのような制限があるか、どのような配慮が必要かなど、労務管理上必要な範囲で確認します。

主治医から追加の情報を確認する必要がある場合は、本人の同意を得たうえで行います。産業医などの産業保健スタッフがいる会社では、本人の同意を得て、産業医等を通じて主治医へ確認する方法もあります。

健康情報の取扱いや医療機関との情報共有については、厚生労働省の
治療と就業の両立支援指針
も参考になります。

休職を開始した後は、会社の規程に応じて本人の療養状況を確認するとともに、休職中の取扱いについても整理しておきます。

休職中の確認項目 主な内容
休職期間 休職開始日と期間満了日を管理する
本人の状況 規程に応じて療養状況や復職の見込みを確認する
会社との連絡 休職中の連絡方法や状況報告の時期を決めておく
賃金 休職中を無給とするのか、会社独自の取扱いがあるのかを確認する
社会保険料 無給の場合でも本人負担分が発生するため、精算方法を確認する

健康保険の被保険者が業務外の病気やけがによって働くことができず、給与の支払いを受けられない場合などには、傷病手当金の対象となることがあります。

本人から復職の申出があった場合は、医師の診断書などを確認したうえで、実際に担当する業務を継続して行える状態まで回復しているかを判断します。

例えば、デスクワークであれば勤務可能でも、長時間の立ち仕事や重量物を扱う仕事では勤務が難しい場合があります。

主治医が具体的な仕事内容まで把握していない場合は、必要に応じて仕事内容や勤務時間などを伝えたうえで意見を確認することも考えられます。

また、就業規則等に定めがある場合には、会社指定医の診断を求めるなど、会社側でも復職できる状態かを確認することがあります。

復職の判断では、診断書の記載だけではなく、実際に担当する業務を継続して行える状態かを確認することが重要です。

休職期間満了時にも勤務できる状態まで回復していない場合は、就業規則や休職規程に定めた取扱いを確認します。

会社によっては、休職期間満了時にも復職できない場合は、期間満了をもって退職とする規定を設けていることがあります。

注意
休職期間満了時の取扱いは会社の規程によって異なります。実際に適用する場合は、規程の内容と本人の回復状況などを確認したうえで判断する必要があります。

⑥ 長期間働けない従業員が出る前に就業規則を整備しておく

実際に対象者が出た後で休職期間や復職時の手続きなどを決めようとすると、その従業員の事情を前提とした個別対応になりやすくなります。

そのため、長期療養者がいない段階で、自社の休職制度が実際の運用に合った内容になっているか確認しておくことが重要です。

項目 確認しておきたい内容
休職の事由・対象者 どのような事情、従業員を休職の対象とするか
休職期間 休職事由や勤続期間などに応じてどの程度の期間とするか
休職中の取扱い 賃金、社会保険料、会社への状況報告などをどのように扱うか
復職・期間満了 復職時の確認方法や、復職できない場合の取扱いをどのように定めるか
再休職 同一または類似の傷病で再度勤務できなくなった場合に、休職期間を通算するか

すでに休職規程がある会社でも、規程が古いままになっている、復職時の手続きが明確でない、実際の運用と規程が合っていないといったケースがあります。

就業規則を整備する際の考え方については、当事務所の
就業規則は10人未満でも必要?作成・見直しのポイント
でも解説しています。

就業規則の作成・見直しを含む当事務所の対応内容については、
サービス内容・料金
をご確認ください。

⑦ まとめ

長期間働けない従業員が出た場合は、診断書だけで今後の取扱いを決めるのではなく、現在の状態や仕事内容、自社の制度を確認しながら対応を進める必要があります。

会社が確認しておきたい主なポイント

✓ 病気やけがの原因と現在の就業可否を確認する
✓ 勤務を継続できる方法があるか検討する
✓ 休職となる場合は自社の規程に沿って対応する
✓ 休職中の取扱いと復職時の判断方法を整理しておく
✓ 対象者が出る前に就業規則や休職規程を見直しておく

長期間働けない従業員への対応は、個々の状態や仕事内容によって判断が変わります。

実際に問題が生じてから個別に対応を考えるのではなく、あらかじめ会社としての取扱いを整理しておくことが、その後の対応を進めやすくすることにつながります。

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